Why "H"
多様な経験が導き出す、美容師業のこれから
吾妻 仁 roijir / Director
2017.08.04

学生時代にメンズ雑誌の専属モデルとして活動したのち、美容師の道へと進む

現在は店長として店舗運営を行うと同時に、ヘアメイクとしての活動実績を生かし、撮影時にはメイクも担当するマルチプレイヤー。

美容師という仕事を、一般職と同じ待遇にしたい。

老舗サロンで3年間を過ごした彼は、変化を求めていた。
安定した大きなサロンで過ごす毎日は、決まりきったルーティーン。
そんな時、耳にしたのが、H[eitf]が新店roijirを立ち上げるという話だった。
「勢いがあるサロンだと知っていたけど、行ったことがなかったから。」
とりあえず行ってみようとH[eitf]にカットをしにいくと、施術後そのまま社長の小玉と面接、という怒涛の展開。
「明日から来て。」
その日に入社が決まった。

 

 

入社8年目となる現在、店長としてroijirを率いる彼が目指すのは、ストレスのない職場環境。
H.companyでは店舗によって営業形態が異なり、その決定権を店長が持っている。
休みが少ないイメージのある美容師だが、彼が今目指すのは週休2日制。
「美容師だからとかじゃなくて、普通の一般企業と同じ待遇にしたい。roijirは今でも休みは多い方ですけどね。笑」
現状、月7日は休みを取れるようにしているという。
仕事をする上で有言実行を大切にする彼は、掲げた目標を1つ1つ、実現していく。

 

「カッコつけ世代」そう呼ばれた20代。

 

 

人気スタイリストになるために、必要なことは何かと尋ねれば、「謙虚であること、素直であることが大切。」と答えてくれた。
「僕はどちらかというと、素直じゃなかったから、数字を出すのに時間がかかったんです。歴代の先輩たちに鍛えられて、ようやく言われたことを聞ける様になった途端、数字が一気に伸びた。“カッコつけ世代”と言われていた同期たちの間で、そろそろ俺らの時代だねっていう話になって。そこから、変わったかもしれない。」
一プレイヤーとしての意識から、組織を運営するという意識に変わっていった。
そんな彼は今、お店のスタッフと、どう関わっているのか。
 

 

「お客様に迷惑がかからない限りは、自分から下の子に何か言うことはないですね。ゆるいって言われることもありますけど。」
男性スタッフに比べると、女性スタッフはその時々の感情が表面に出てしまうことが多い。
特にroijirはスタッフのほとんどが女性。
営業を見ていれば、その些細な変化には気付くことが出来る。
どうすべきか促すことは簡単だが、自分で考えて行動できる様にギリギリまでは何もしないのだという。
「適度な放任主義。」
この教育方針こそ、スタッフそれぞれが魅力的に働ける、今のroijirの空気を作り出している。

 

ヘアメイクの経験から得た、接客スタイルとは。

 

 

「髪を“触らせてもらっている”という感覚で接しています。」
近すぎない距離感を大切にする彼は、どれだけ長く通ってくれているお客様でも、必ず敬語を使うのだという。
聞かれれば答えるが、自分の話もほとんどしない。
これは、ヘアメイクをやっていた頃の名残でもある。
「ヘアメイクは、担当にならない限りは自分のプライベートの話はしちゃいけないんですよ。その時は嫌だったんですけど、その習慣は今も続いていますね。」

 

若い頃は、俺は俺はと主張が強い時期もあったが、自己満足で終わっていないか、という疑問を持った。
「時間をかけたのに戻って来なかったり、もうちょっとやりたかったと思っているとまた来てくれたり。自分の物差しでお客様の満足度を判断するのは難しい。その人の話をしっかり聞いて、満足してもらうスタイルを作る。いい気分で帰ってもらう事が大切かな、と。」
求めていることに敏感になる、ということがこれまでの経験から導き出した彼の接客スタイルだ。
 

モデル・ヘアメイク・美容師。その先に見るものは。

 

 

なんでも飽き性だと話す彼にとって、11年続けていることは美容師の仕事の他にはない。
「30歳になったらハサミを置くつもりだった。それが31歳になった今、意外とやめられない。」
自身にとって、ライフワークとなった美容師という職業。
その先に目指すものとは。
「美容だけじゃなくて、アパレルやっている友達とか、カフェをやっている友達と、そう言う枠を超えた仕事をしてみたい。そうやって色々な魅力を持つ人になれたらいいかな。」
同じ様に手に職を持つ父や2人の兄。
一番身近ですごい人だと、尊敬する背中を見続けて来た。
そんな彼は今、これまでの経験を踏まえた自分にしか出来ない未来を見据え始めている。

 

彼には今、1歳8ヶ月になる子供がいる。
「今の時間は本当に今しかないって教えてくれた存在。」
どれだけ子供が泣いても甘えても、その時間は長くはない。
後からあの時…と思い返しても、戻っては来ないのだ。
子育てを通して気がついた今の大切さは、仕事に対しても、育てる後輩に対しても同じだと捉えるようになった。

 

大切にしている言葉は、「今を生きろ」。
 

意思が宿る強い眼は、その言葉の説得力を増す。
大きな夢を語らずとも、地に足をつけ着実に進んで来た彼にはこれからも、この言葉が寄り添い続ける。

Profile|
吾妻 仁 roijir / Director

1986年生まれ / 美容師歴11年 / 東京都出身 / 日本美容専門学校卒

Instagram : @jin_azuma

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