表参道の有名サロンにて9年間技術を磨き、その後H.companyに入社する。
レザーカットを用いたショートスタイルや、パーマスタイルを得意とする。
知人からのすすめをうけ原宿 ROJITHAにてスタイリストとして活躍後、1年半で店長の職に就く。
子供の頃から、勉強は好きだった。
知らないことを学ぶのが好きだった。
美容師ブーム最盛期だった高校時代、ふと自分でカットした髪型を友達に褒められ、流れで目指した美容師という仕事。
専門学校時代は真面目ではなかったという彼は、その後長く厳しいアシスタント期間を経験する。
上昇志向が強く技術に対してのこだわりが強い。
そう話す彼はいま、店長としてどのように後輩を育てているのか。
古き美容師の慣習も必要かもしれないと語る彼に、後輩の教育について聞きました。
思い切って飛び出した美容師9年目
― H.companyには中途入社とのことですが、それまではどちらで働いていたんですか?
森平:専門学校を卒業してすぐ地元のサロンに就職したのですが、当時読者モデルをしていて東京のサロンに行くことが多く、やっぱり東京で働きたいなと思ったんですよね。せっかくなら、技術に定評のあるサロンに入ろうと思って。そうしたら、本当に厳しかったですね(笑)カットに特に力を入れていて、どちらかというと職人気質なサロンでした。9年間、かなり鍛えられたので今もカットが一番得意です。
― そんなに長く働いていて、なぜH.companyに入ろうと決めたんですか?
森平:オープニングから携わっていた所属店舗が、閉まることになったんです。他の店舗に異動ってなったときに、このままここに居続けるか他に行くかを考えたんですよね。このタイミングを逃したら、一生ここにいるんだろうなって。その時に相談した色々な人からH.companyをすすめられて。勢いのあるサロンだなと知ってはいたんですが、「合うと思う」ってみんな言うんですよ。もともと知り合いが多かったのもあって、ROJITHAを受けました。
― ROJITHAに入った印象はどのようなものでしたか?
森平:サロンによって、こんなにも力のかけどころが違うんだなと。組織としての体制がしっかりしていると思いましたね。職人気質のサロンを経験した自分にとって、接客やチームプレイを重んじるスタイルは、また違う美容師像を感じました。
― 「美容師」に対する価値観は変わりましたか?
森平:長く1つのサロンにいると、そこの価値観だけになってしまいがちですよね。そういう意味では、違う空気のサロンにこれたことは良かったですね。いろんなサロンに行けというわけではないですけど、僕の場合は職人気質のサロンで技術を学び、少し柔らかいROJITHAに入ったことで振り幅は大きいと思う。後輩たちに伝えられることも多いと思うんです。そういうものを伝えて、後輩たちにはどこでも通用する技術と人間力を持った美容師になってほしいと思いますね。
― ROJITHAさんはいつも和気藹々としていて、楽しそうなイメージがありますよね。
森平:スタッフの仲は良いですね。離職率も低いと思います。ROJITHAは30代のスタッフが多く、H.companyの中では年齢層が高めのサロンです。僕以外も他のサロンを経験して入ってきているスタッフが多いので、ROJITHAというひとつの形に捉われない人材が育てられるんじゃないかなと思いますね。
― 口調が柔らかくて優しい雰囲気の森平さんですが、後輩に怒ったりするんですか?
森平:それはありますよ(笑)。言い訳したり、怒られるとわかっていて誤魔化そうするときは、言いますね。微妙な空気を作られるのが嫌なんです。ミスをすること自体ではなくて、逃げの姿勢に対して怒りたいかなって。技術ができないとか、そういうことで怒ることはあまりないです。そこは、一緒に頑張れるので。
― 入社して1年半ほどで副店長になっていますが、もともと役職に就きたいという気持ちはありましたか?
森平:人を育てる仕事がしたいと思ってROJITHAに入っているので、そういう気持ちはありましたね。正直、前のサロンを辞めたときに委託のサロンという選択肢もあったし、自分一人で稼ぐ道は他にもあったんです。ただ、人を育てようとしているサロンで働きたいという気持ちが強かった。技術に関しては自信がありましたけど、自分の能力を高めるよりも、もう一歩先に行きたかったんです。
― 上昇思考だとおっしゃっていたので、ご自身の技術向上に注力するのかなと思ったのですが…。
森平:技術に関してのこだわりは、すごく強いと自分でも思います。ただ、だからこそ僕が伝えられることも多いんじゃないですかね。シャンプーだったら自分より上手い人はいないだろうって自信はあるし、他にも「絶対に負けない」ポイントは持っているけど、そう言えるように練習もし続けていますからね。
― 美容師歴15年目の今も!誰にも負けないと思えるところまで技術を磨くってなかなか難しいのではないですか?
森平:上手くなろうって思いつづけながら、常に手を動かすということなんじゃないですかね。これぐらいでいいやって思いながらシャンプー続けていても上手くはならない。常によくなるように考えて、変えての繰り返しですね。
― なるほど。後輩を育てるうえで、難しいなと思うことはありますか?
森平:自分の時が厳しく育てられた分、ROJITHAに入った時は自分が嫌だったことは全部やめようと思っていました。でも最近は前の時代に戻った方がいいなと思うこともあるんですよね。
― それはなぜですか?
森平:ROJITHAってスタイリストが他のスタイリストのヘルプでシャンプーしたり、床をはいたりするのが結構当たり前なんですね。お互い助け合うっていう雰囲気が根付いているので。みんな厳しい時代を知りながらもそういうことができるので、柔軟性があっていいなと思うんですけど、他のサロンでは当たり前ではないので。それを下の子たちが見て、慣れてしまってはいけないなと思うんです。スタイリストもやってくれるから、頼ろうと感じてしまうのは危険だなと。
― 確かに、もし他のサロンに異動するとなったときを考えると、危険ですね。
森平:優しくしたいがために僕たちがちゃんと伝えないことで、その子が「使えない」と思われてしまうのは嫌なんです。優しく和気藹々ももちろん大事ですが、アシスタントとスタイリストの役割の違いや立ち居振る舞いを、ちゃんと伝える厳しさは持っておかないといけないなと感じています。
― 森平さんは、どんな学生時代を過ごされたんですか?
森平:自堕落でしたね(笑)。高校専門ぐらいの時期は、遅刻回数がめちゃめちゃ多かった。楽しいから学校には行くんですけど、「昼からでいっか」っていう。
― そこからいきなり厳しいサロンに入って、辛くなかったんですか?
森平:社会人になると意外とできるもんだなって。学生の時は遊びが楽しいからそっち優先になっていたけど、社会人になれば仕事が優先になるから、自然に切り替わった感じはあります。
― どんなアシスタント時代だったのでしょうか?
森平:大変でしたけど、学ぶこともすごく多かった。アシスタント期間中の6年くらいはアシスタントリーダーをやらせてもらったことで、フロア全体を俯瞰してみる力が身についたとも思いますし。そういう客観視できるスキルがあったから、いま店長ができているのかもしれないですね。
これから先、美容師として目指すもの
― これから新卒採用が始まる時期ですが、どんな方と一緒に働きたいですか?
森平:やる気に満ち溢れた人ですね。それが、一番大事です。
― 森平さんがこれから美容師として目指すことは、どんなことですか?
森平:誰かにとっての人生のパートナーの1人でありたい、ということですね。
― 人生のパートナー?
1人の人がいたときに、その人の人生においてサブキャラクターみたいな人がたくさんいるじゃないですか。例えば奥さんや旦那さん、友達、家族、自分を助けてくれるパートナーがたくさんいる。その中で、美容師というカテゴリーに自分を選んでくれているわけだから、それは人生をともに歩むパートナーの1人だなと思うんですよね。
― なるほど… 素敵ですね…!
森平:長くお付き合いを続けているお客様は特にですけど、ずっと髪を切っていたらもう身内みたいなものですよね。選んでもらえる美容師でありたいと思うし、そう思われる美容師を育てていきたいと思っています。
1983年生まれ / 美容師歴15年 / 神奈川県出身 / コーセー美容専門学校卒
Instagram : @yusuke0808