2022年5月にスタイリストデビューした新宿Ameri kaede。
「手先が不器用で、メンタルが弱かった」と話す彼女は、美容師になる厳しさもわかったうえでこの世界に飛び込んだという。
彼女が今日まで美容師を続けてこられたサロン選びのこだわりと、H.companyで描く「なりたい美容師像」を聞きました。
手先が不器用、メンタルが弱い……それでも、美容師になった
― 美容師を目指そうと思ったきっかけを伺えますか。
小さい頃からおしゃれが好きで、ファッションを楽しんだり、それに合わせて親に髪型をアレンジしてもらったりしていました。学生時代のアルバイトを通じて人と接することも好きだと気がつき、アパレルの販売員や美容部員といった美容・アパレル業界で働きたいと自然と思い始めたんです。
その中でも、いとこが美容師だったこともあり、特に美容師という職業は身近で憧れの職業でした。
― どういったところに憧れたのでしょうか?
単純に「かっこいいな」と思ったのがきっかけです。特に、努力し続けられる仕事であることに憧れました。
― 努力し続けられる仕事?
いとこは美容師として働きながら、ずっと学び続けている姿勢が印象的でした。一見華やかでキラキラして見える職業だけれども、裏ではものすごい努力をしている。自分を高め続けられる仕事なのだと感じ、仕事そのものがかっこいいと思えたんですよね。
― 確かに、すごくかっこいいですね。「美容師になろう」と決めたkaedeさんに対して、周りの反応はいかがでしたか?
なかなか厳しかったですね(笑)。もともと私は手先が器用な方ではなかったですし、メンタルも弱かったので、両親からは「美容師は続けられないんじゃない?」と言われました。いとこからも「夜遅くまで練習したり、女の子には大変だよ」と何度も言われ、心配されていました。
― 止める人が多い中で、なぜ美容師に……?
メンタルが弱いのは自覚している一方で、すごく負けず嫌いでもあるんです(笑)。だから「やってみないとわからない!」と思っていましたね。厳しい世界だということは十分理解していましたし、だからこそ私も生半可な気持ちで美容師を選んだわけではありません。自分で覚悟を決め、挑戦する気持ちで美容師になることを決めました。
「自分が美容師を続けられる」サロン選びのコツ
― 悩んだところで諦めないのが、負けず嫌いなkaedeさんらしいです。就職活動はどのように進められましたか?
サロン選びで大切にしていたのは、「接客の雰囲気」です。人と話すことが大好きなので、お客様との関わりを多く持てるサロンに就職したいと思っていました。
H.companyを知ったのはほんとうにたまたまです。渋谷で働きたいな、と思っていた時にSienaを見つけて。スタイル写真の雰囲気が好みだったので、実際にサロンへ施術を受けに行きました。
同じ専門学校の出身であり、当時はSienaの店長、今はオーナーをしている阿部 隆太郎さんを指名しました。
― サロン見学の際に、特に見たポイントなどはありますか?
その日働いている人のなかで一番役職の高い方を指名すること、そしてその方につくアシスタントさんがどのように働いてるかを見るようにしていました。
もし自分がアシスタントの立場だったら、と想像しながら、「楽しそうかな」「怖がっていないかな」と様子を見るんです。スタッフの表情や会話から、そのお店の雰囲気を掴むようにしていました。
― なるほど。実際に働いている人を見て、自分がどんなふうに働けるのか想像するんですね。
Sienaは終始笑い声であふれていて、店内で過ごす時間のすべてが衝撃的でした。
阿部さんがまるで台風の目のようになって、アシスタントさんや隣のお客様、その担当スタイリストさんまで巻き込み、みんなでコミュニケーションをとるんです。そんなふうにお店全体でコミュニケーションをとるには、スタッフ全員の仲が良くないとできないことだなと感じました。
それまで何店舗か見学に行きましたが、Sienaで初めて「ここだ!」と思いましたね。
― 人と話すのが好きなkaedeさんにはぴったりなサロンだったのですね。
その日のうちに阿部さんに「入りたいです!」と伝えました(笑)すると阿部さんからは「サロンはここだけじゃないからね。他のお店も見て、やっぱりSienaがいいと思ってくれたら戻っておいで。いつでも待ってるよ」と言ってもらいました。私の就職先をそんなふうに考えてくれる先輩がいることも魅力的でした。
入社後は阿部さんから「最初は技術がなくてもお客様と話して、一緒になって楽しんでくれるだけで助かるよ」と言ってもらい、たくさんのお客様と関わらせてもらいました。できないことの方が多い中でも、お客様と話したいという私の想いを尊重してくれたので、入社早々からやりがいを感じていましたね。
美容師の枠を超え、憧れられる存在を目指して
― 2022年5月にスタイリストデビューされたと聞きました。おめでとうございます。
ありがとうございます!
― 3年間のアシスタント期間はいかがでしたか?
Sienaに入社してから1年目は、覚悟していた通り大変すぎて「大変」と思う余裕すらなかったです。怒られた回数も数えきれません。それでもここまで続けてこれたのは、Sienaだったからだと思います。
阿部さん含め先輩方の存在も大きくて、落ち込んだ時は食事に連れて行ってくれたり、悩んだ時は相談にのってもらったりしました。先輩方にケアもフォローもたくさんしてもらったおかげで、今の私がいます。
― お店の居心地や人間関係が支えになると心強いですね。
今では後輩を持つ立場になり、改めてあのとき教えてもらったことが生かされていると感じます。美容師としての前に、一人の社会人として自然と身についているマナー、人として気持ちのいい振舞いや気配りは先輩方が教えてくれたこと。だから先輩方にとても感謝しています。この先は、教えてもらったことを私が後輩へ伝えていきたいです。
― 改めて、スタイリストとなったkaedeさんの強みを教えてください。
話すことが好きなので、お客様とコミュニケーションをとる接客スタイルが、私の特徴ですね。メイクや美容が好きで常にアンテナを張っていることもあり、「美容」に関する話題も提供できます。それに加えて、コロナ禍でお店の営業ができなかったときに力を入れ始めたSNSの発信も強みになりました。
― SNSではどんなことを発信されているのでしょうか?
髪のことと、メイク情報の発信をしています。私には妹がいるのですが、妹にメイクをしていた経験から、メイクを始めたばかりでどうしたらいいかわからないと悩む子たちが参考にしてくれたら嬉しいですね。
― ヘアスタイルもメイクも、トータルで相談できるのは心強い。実際にお店でメイクを担当したこともありますか?
撮影でメイクを担当させてもらったこともあります。
H.companyは仕事に関して決まったルールがなく、スタッフそれぞれのやりたいことを尊重してくれる会社です。「やりたい」と手を上げれば挑戦できる環境がありますし、その時はまだ力が及ばなくても「それはあの人が得意だよ」とアドバイスをくれそうな人と繋げてくれる。
いろんなスキルや強みを持った美容師がたくさんいるところも、H.companyの特徴だと思います。「なりたい美容師像」は人によって違うと思うので、この会社に入れば、きっと目標となる人が見つかるはずです。
― 最後に、kaedeさんのなりたい美容師像を教えてください。
メイクやファッションなど美容師の枠を超えて発信力のある、憧れられる美容師になりたいですね。
私は学生の頃に「自分には個性がないのかな」と悩んだことがあります。そのときメイクもできる美容師さんをSNSで見つけて、「私もこんなふうになりたい」と思いました。「kaedeさんみたいなメイクをしたい」とか「真似したいです」と言ってもらえたら嬉しい。自分なりに自分の良さを発信していきたいと思っています。
デビューしたての今は、まずはスタイリストとして目の前のお客様としっかりと向き合い、成長していきたいです!
1998年生まれ / 勤続年数4年 / 東京都出身 / 山野美容専門学校卒
Instagram:@maplen.k